不動産会社を始めたい。今の会社に、不動産事業部をつくりたい。
事務所や免許のことを調べながらも、「開業した後、どうやって仕事をつくっていくのか」が気になっている方もいらっしゃると思います。既存のお客様や取引先とのつながりを生かせそうでも、誰に何を任せ、どれだけ費用をかけて始めればよいのか。そこまで決めるのは、簡単ではありません。
このnoteでは、何の仕事で売上をつくり、利益を残しながら続けていくかを、開業準備から順に考えます。会社・事務所・免許の準備だけでなく、案件を得る方法、お客様への対応、契約、数字の管理、役割分担までを扱います。
読み終えたときに、自社で次に何を進めるかが分かる。そのために、計算例と実務の手順、計画を書き込めるテンプレートをまとめました。これから始める方にも、始めた事業を見直したい方にも使っていただける内容です。
売上をつくった先で、続けられる会社にする
私は和泉利明と申します。不動産業に25年以上、会社経営には通算20年携わり、仲介会社を15年経営してきました。賃貸営業、売買仲介、建売住宅やマンションの販売を経験し、これまで2,500棟以上の仲介に関わっています。
独立後は買取再販にも取り組み、現在は不動産会社の経営者を支援する立場で、営業や組織づくり、業務改善、新規事業の立ち上げを支援しています。
そして、会社経営では倒産も経験しました。
売上を広げるために、人員や広告を増やしてきました。一方で、成約が減ったときにも費用がかかり続け、すぐには体制を変えられない。その見通しに、私自身の甘さがありました。
振り返ると、あの経験から学んだことは多く、今の事業にも生かせています。ただ、当時は精神的にかなりキツかったのを覚えています。
その経験から、新しい取り組みを考えるときは、売上とともに、会社に残る利益、支払いに使える現金、社長が使う時間まで見るようになりました。
一件契約できても、広告費や時間を使いすぎれば、次も同じ方法で続けられるとは限りません。人を採っても、任せる仕事が決まっていなければ、社長の負担が増えることもあります。
だから、このnoteでは、売上・費用・資金・体制をつなげて考えます。開業前に分かることを増やし、始めた後には、実際の数字を見て修正できるようにしておきたいのです。
仲介と買取再販を、両方扱う理由
このnoteでは、住宅の売買仲介と買取再販を中心に扱います。必要な資金や実務は違いますが、私にとっては、互いの経験が役立つ仕事でもあります。
仲介では、お客様が何と比較し、どこで迷い、何を理由に購入するかが分かります。その経験は、買取再販で物件を選び、販売価格や工事内容を考えるときにも生きてきます。
買取再販では、仕入れ・工事・販売にかかる費用と、時間が利益に与える影響を学べます。リフォームされた物件を仲介するときも、どこに手を入れ、どこを残しているのかを理解できれば、お客様への説明が変わります。
最初に取り組む事業に合わせて、必要なところから読んでください。もう一方の仕事を知ることも、取引先やお客様への提案を考える材料になると思います。
このnoteの使い方と、12章の内容
開業前の方は、第1章から順に読みながら、自社の計画を作ってみてください。各章で決めたことを、誰が、いつまでに、何をするかという仕事にしていきます。
すでに営業している方は、今の課題に近い章からでも構いません。問い合わせ後の対応なら第6章、営業全体の動きなら第8章、利益や手元資金なら第9章、社長への業務集中なら第10章が入口になります。
改善することが見つかったら、第11章で実行と見直しの予定を立て、第12章で会社全体への影響を確かめます。

第1章 何で売上をつくり、どのように利益を残すか
最初の主力業務を決め、一件の採算から必要な件数、集客、体制を逆算します。
第2章 開業までに必要な準備を、順番に進める
会社、事務所、宅建士、免許、保証協会、開業資金。手続きと支払いの順番を考えます。
第3章 営業初日から仕事が進む仕組みを整える
問い合わせ窓口、顧客・案件管理、資料の保存、予定と期限を整えます。
第4章 扱う物件と、仕事を任せてもらう関係をつくる
誰から案件を得るか、何を提案し、どんな条件で引き受けるかを決めます。
第5章 お客様を集める方法と、使える費用を決める
紹介、ポータル、ホームページ、SNSを、予算と対応できる量に合わせて選びます。
第6章 問い合わせを、面談・内覧・申込みへつなげる
一次対応から資金計画、提案、内覧、追客まで、お客様の判断を支える営業を考えます。
第7章 契約から決済まで、実務を確実に進める
物件調査、重要事項説明、契約、融資、工事、決済を、担当者と期限でつなぎます。
第8章 反響から契約までを、数字で管理する
案件の進み方と担当者の状況を見て、反響や時間の配分、必要な支援を決めます。
第9章 利益と資金を、回転まで含めて管理する
一件の採算、会社の利益、入出金、買取再販の資金回収までの日数を管理します。
第10章 社長一人に頼らない会社をつくる
社長が持つ判断と人へ渡す仕事を分け、任せるための準備を進めます。
第11章 最初の90日で、利益が残る事業の形へ修正する
実際の仕事と数字を振り返り、次の90日で残すこと、変えること、やめることを決めます。
第12章 利益が残らない会社にしないために、最後に確認したいこと
固定費、依存、仕事の広げすぎ、判断の先送りなどを、会社全体で見直します。
実務テンプレートを、自社の計画に使う
本文に加えて、全12種・32ページの記入用PDFと、全9シートの計算・管理用スプレッドシートを用意しています。事業方針、開業準備、案件管理、集客、契約、利益と資金、役割分担、90日の見直しに使えるものです。
最初からすべてを埋めようとせず、今の自社に必要な項目から使ってみてください。空欄になったところには、まだ決まっていない条件や、誰かに聞かなければ分からないことがあるはずです。それも、次に進める仕事を見つける材料になります。

※制度・法令・手続きに関する内容は、実際の申請・契約・税務等の際に、申請先や各専門家の最新情報と照合してください。
この記事は有料実務ガイドの無料公開部分です。
