物件の話は来ている。でも、いつもの銀行融資では買えない。現金で買うには、会社の負担が大きい。そこで検討を終えている案件はありませんか。
私は、そうして見送っていた物件を、もう一度、仕事として考えられることに、ファイナンスの面白さを感じています。
その背景には、自分自身が買取再販をしてきた経験があります。マンションを買い、リノベーションをして販売する。物件を売る仕事だけでなく、その間のお金をどう回すかにも向き合ってきました。
不動産業に25年以上携わり、仲介会社を15年経営してきた和泉利明です。会社経営は通算20年。現在は、不動産会社の経営者を支援する立場で、経営や営業、物件と資金の組み立てを支援しています。
今回は、自分の買取再販の経験と、会社の中で案件の相談を受ける役割を担う理由を書きます。
目次
手間もリスクも引き受けて、どれだけ利益が残るか
私自身、マンションを買い、リノベーションして再販売する仕事を続けてきました。手間も資金もかけ、売れないリスクや売却後のアフター対応も引き受ける。それでも、思うように利益が残らない。なかなか厳しいなと感じていました。
だからこそ、顧問先には、私が苦労してきたのと同じ競争の中だけで、利益を追い続けてほしくないという気持ちがあります。
資金の組み方が変われば、これまで見送っていた物件も、仕事として検討できるかもしれない。リノベ再販を続けていた当時の私には見えていなかった選択肢です。顧問先と一緒に、そういう別の可能性を探していきたいのです。
物件が売れるまで、お金は戻ってこない
利益の薄さに加えて、頭を悩ませたのが、売れるまで手元に戻らないお金でした。
物件の取得資金は銀行から借りられても、リノベーション費用は現金で出す。そのお金は、工事が終わっても、売却して回収するまでは次の仕事に使えません。その間も、会社の支払いは続きます。
さらに、会社の経営が厳しくなると、銀行からの融資も止まりました。物件を仕入れ、工事をして、売る。その仕事を続けたくても、資金がなければ動けない。物件の収支だけを見ていても、事業は回らないのだと感じました。
こうした経験があるからこそ、顧問先の案件でも、見込める利益と合わせて、取得から回収までに必要なお金を確かめたいのです。利益を出せる物件を見つけても、そこまで資金が持たなければ、その利益には届きません。
回収までの時間と資金の組み方は、こちらで詳しく書いています。
利益は出る予定なのに、お金が足りない。回収までの時間をどうつなぐか
見送っていた物件が、もう一度検討できる
こうした経験をしてきたので、いつもの融資の条件に合わない物件でも、資金の組み方を変えれば取り組める場合があることに、私は可能性を感じています。
物件そのものがなくなるわけではありません。買うためのお金を用意できない、自社の現金を長く使えない状態にしたくない。そうした理由で、検討から外れている案件もあります。
そこに、誰にどう売るかという見通しと、その間をつなぐ資金の選択肢が加われば、もう一度、仕事として考えられることがあります。
それまでゴミ箱に入れていたような案件が、復活する。
私の感覚は、まさにそんなイメージです。これまで会社の売上に入っていなかった仕事を、もう一度検討できる。ここに、顧問として関わる価値があります。
もちろん、資金が用意できれば何でも買えるという判断にはしません。物件の制約、売却先、必要な費用を見たうえで、取り組める条件を考えます。
時間がかかるから、見送られている仕事がある
土地を買っても、すぐに売上や収益が生まれるとは限りません。準備を進めたり、周囲と交渉したり、その場所で事業ができる状態に整えたりする時間が必要です。
その間、資金を使い続けることになる。だから、可能性を感じていても手を引く会社があります。私は、その時間をつなげられれば、取り組める仕事があることに面白さを感じています。
例えば、蓄電池の事業に使う土地です。土地を取得してから、必要な確認や設備の準備を進め、事業として収益が上がるまでには時間がかかります。土地を買えたら、それで完成という仕事ではありません。
周辺の土地も含めて確保することで、事業に使える範囲が広がり、土地の評価が変わる可能性もあります。ただ、その形になるまでには交渉も必要ですし、先に取得した土地の資金も必要です。
完成した姿に可能性があっても、そこまで進めるお金がなければ、計画のままで終わってしまう。 ここに、ファイナンスが関わる意味があります。
もう一つ、分かりやすいのが、単独では再建築が難しい土地です。
隣接する土地も取得し、一体として利用することで、建築できる条件を整えられる場合があります。もちろん、二つの土地を合わせれば必ず建てられるわけではありません。道路との関係や建築の条件を確認し、隣地の所有者との交渉も必要です。
それでも、条件を整えられれば、単独では使い方が限られていた土地が、別の用途で検討できる土地になる。手をかけることで、買い手が見ている価値そのものが変わるのです。
資金を用意し、必要な交渉や準備を進める。その仕事によって、物件の可能性を形にしていく。
私が続けてきたリノベーション再販とは、違う取り組み方です。工事をして室内をきれいにするだけでなく、土地の使い方や事業の組み方から、価値を考えられる。そこに、仕事の広がりを感じています。
ただし、完成したときの金額だけを見て進めることはできません。隣地を取得できなかったらどうするか。準備が長引いたら、資金は持つのか。途中で計画を変える必要が出たときも含めて、取り組める条件を確かめます。
手間や時間がかかるから、誰もが同じようには取り組めない。だからこそ、物件と実務と資金を組み合わせる意味がある。顧問先にも、いつもの仕入れ方や売り方だけでは見えてこなかった選択肢を届けたいと思っています。
社長が全部を見るのは大変だから、案件の窓口になる
一件だけなら、社長が時間をつくって調べられるかもしれません。でも、日々入ってくる物件について、いつもと違う扱い方や資金の組み方まで、社長がすべて見続けるのは大変です。
そこで、私が経営者向けの個別支援の一環として、案件の相談窓口に入ります。担当者や社長が、これなら扱えるだろうかと迷ったときに、物件の資料を持って相談できる相手になるのです。
取得資金で止まっているのか。売るまで現金が寝ることが問題なのか。そもそも、誰にどう売るかがまだ見えていないのか。案件を見ながら、次に進める仕事を決めていきます。
出口から取得価格や資金を考える手順は、こちらにまとめています。
「いくらで売れるか」から、仕入れを決める。物件とファイナンスの組み方
会社の中に、こうした話をできる相手がいる。私が入って話をすることで、それまで見送っていた物件の別の扱い方に気づき、売上や利益につながる。顧問として大切にしているのは、この関わり方です。
これまで扱っていなかった案件から、会社に新しい利益が残る。
社長の壁打ちに加えて、そうした仕事を担いたいのです。顧問料を払う意味も、実際に動いた案件や会社に残る利益で感じていただきたいと思っています。
和泉に相談
いつものやり方では扱えず、見送っている物件はありませんか。最初から売り方や資金の答えがそろっていなくても、どこで検討が止まったのかを聞かせてください。
物件の資料と、これまで検討した売り方や資金の条件をもとに、どこを見直せば仕事として取り組めるのかを一緒に考えます。経営者向けの個別支援を通じて、日々入ってくる案件を相談できる窓口になり、会社の売上と利益につながる実務まで関わっていきます。
