社長の横に、もう一人いた方がいいと思うようになった理由

「社長、これどうしますか?」

約50人の会社を経営していた頃、私のところには、毎日のようにいろいろな話が上がってきました。

仕事の判断だけではありません。

「あの社員がこう言っています」
「○○さんと○○さんがうまくいっていません」
「こんなことを言われました」

社員同士の人間関係や不満。そういう話の間に入ることも、少なくありませんでした。

これが、難しかったのです。

お互いに言いたいことがある。それぞれの話を聞いても、どこをゴールにすればいいのかが見えない。どちらが正しいか、間違っているかを決めれば終わる話でもありません。

間に入ることで、かえって泥沼に入り込んでいくような感覚がありました。

そして、人の話を聞くのには、ものすごく時間がかかります。時間をかけた分だけ解決に近づくなら、まだいい。でも、話は聞いたものの、あまり解決にはつながっていない。そういうこともありました。

本当は、進めたい仕事がある。
でも、そちらに時間を使えない。

このジレンマは、かなりありました。

社員の話を聞き、判断し、ときには間に入る。その一方で、目の前の商談も、会社のこれからも考えなければならない。社長のところには、仕事だけでなく、判断と感情の両方が集まっていたのです。

会社経営を通算20年、不動産業を25年以上経験し、仲介会社を15年間経営してきた和泉利明です。現在は、不動産会社の経営者を支援する立場で、経営や営業の実務を支援しています。

社長の横で話を受け止め、状況を整理し、必要な対応まで引き受ける人がいる。その存在は大きいと思っています。自分自身のこうした経験が、今の仕事にもつながっています。


目次
  1. 話を聞いた後、何を引き受けるか
  2. 状況は伝える。対応まで全部戻さない
  3. 社長の力を、どこに使うか
  4. 説明する仕事まで、社長に増やしたくない
  5. 社長に、言いにくいことも伝える
  6. 本当に進めたい仕事に、時間を使えるように
  7. 和泉に相談

話を聞いた後、何を引き受けるか

話を聞いて、その人が不満に思う理由は分かった。でも、次に何をすればよいかは、まだ決まっていない。

ここで話を終えると、また同じところで困ってしまいます。だから、受け止めた話から、仕事として変えられる部分を見つける人が必要なのだと思います。

例えば、「自分ばかり仕事が多い」という話なら、実際にどんな仕事が集まっているのか。担当が曖昧で、その人が引き受け続けているのか。それとも、誰かの確認を待つ間に、自分の仕事がたまっているのか。

同じ不満でも、分担を決める話なのか、確認の流れを変える話なのかで、対応は違います。

相手への気持ちがすぐに変わらなくても、明日からの仕事で変えられることはあると思います。そこを確かめ、関係する人と話し、実際に進めるところまで引き受ける。

聞いた話を、社長への報告だけで終わらせない。

横にいてほしいのは、そこまで関わる人です。


状況は伝える。対応まで全部戻さない

ただ、負担を減らそうとして、現場の話が社長に届かなくなるのも困ります。何が起きているかを知ることは、会社を経営するうえで欠かせません。

社長が知っておくことと、社長自身が対応することは、分けて考えたいのです。

例えば、社員から相談を受け、関係する人にも事情を聞いた。担当者同士で決められるところまでは話した。でも、会社として優先する仕事を変える必要があり、そこは社長の判断を仰ぎたい。

そうであれば、何が起きていて、どこまで対応し、何を決めてほしいのかを伝える。社長がまた最初から全員の話を聞き直す状態にはしない。

そして、判断をもらった後は、関係する人に説明し、仕事を進めるところまで引き受ける。判断を仰ぐことと、対応を返すことは別です。

そのためには、最初に任せる範囲をすり合わせておく必要があります。現場で決めてよいこと、幹部が判断すること、方針や予算に関わり社長へ確認すること。その範囲が曖昧なら、結局、不安になったところで全部社長へ戻ってしまいます。

任された範囲で対応できたことも、経過や結果は共有する。そうすれば、社長は状況を知ったうえで、その仕事を任せておけます。

社長には、会社で起きていることが分かる。
そのうえで、自分が対応しなくても進む仕事がある。

ここを両立させたいのです。


社長の力を、どこに使うか

私自身、かなり現場に入り込むタイプでした。中小企業には、社長が商談に出た方が話が進む場面もあります。相手が安心する。その場で条件を決められる。これまでの経験や人間関係も使える。

この社長のマンパワーは、会社の強みだと思っています。

だから、社長が現場から離れれば、それでうまくいくとは考えていません。社長が力を発揮できる仕事には、むしろ時間を使ってほしい。

大切なのは、その時間を、自分で選んで使えるかです。

今日、自分が出た方がいい商談がある。これからの取引のために、会っておきたい相手がいる。新しい事業について、もう少し考えたい。

そういう仕事があっても、次々に相談や判断が戻ってくれば、そちらに時間を取られてしまいます。目の前の話に対応するだけで、会社の先を考える時間までなくなっていく。

以前、ある社長には、こんな話をしたことがあります。

「実務は私がやりますので、社長はもっと独創的に動いてください」

社長がやってみたいことには、その人の経験や着眼点がある。取引先と話す中で、新しい仕事の可能性に気づくこともあると思います。そういう力を使えないまま、日々の対応に追われてしまうのは、もったいないのです。

今日の売上をつくる時間も、半年後、一年後の会社を考える時間も、社長には要ります。その時間を確保するために、周りが何を引き受けるか。そこまでセットで考えたいと思っています。


説明する仕事まで、社長に増やしたくない

人を一人入れても、その人への指示や説明が増えるだけなら、社長は楽になりませんよね。

相談相手ができ、やるべきことがはっきりした。でも、それを実行するのは全部自分。その状態では、仕事が増えてしまうこともあります。

だから私は、経営者を支援する立場で関わるとき、実務にも入ります。お客様からの相談に対応する。営業案件を見る。掲載する物件を考える。営業の進め方や業務の持たせ方も、一緒に見ていく。

不動産会社に絞っているのは、自分が長く仕事をしてきた業界だからです。業務の流れや内容が分かれば、社長に一から説明してもらう負担を減らせます。こちらで確認し、進められる仕事もある。

もちろん、その会社の方針や大切にしていることは、最初に聞きます。そのうえで、任せてもらった仕事を進めるために、自分が動く。

判断を整理する役割と、実際に手を動かす役割。その両方ができることに、自分の経験を使いたいと思っています。


社長に、言いにくいことも伝える

社長の横にいるからといって、何でも賛成するつもりはありません。社員の話を聞き、現場を見る中で、社長自身の判断や伝え方が関係していると分かることもあると思います。

まだ任せる準備ができていない仕事を渡していないか。社員に求めていることが伝わっているか。進めたい事業に、人や時間をかけすぎていないか。

社長本人が強い思いを持っていることに意見をするのは、簡単ではありません。でも、気を使って黙ってしまえば、見えている問題を伝えられないままです。

ただ、伝え方と場所は選びます。

社員の前で社長を否定し、自分の方が正しいと見せる必要はありません。社長と二人で、何が起きているのか、なぜ気になっているのかを話す。そのうえで、社長が会社の中で説明し、判断できるようにする。

言うべきことは言う。でも、自分が主役になろうとはしない。

社長を立てることと、都合の悪い話を隠すことは違います。耳に入りにくい話も届ける。必要なことは率直に話す。そのうえで、決まったことを進める仕事を引き受ける。

私は、そのくらいの距離で、社長の横にいたいと思っています。


本当に進めたい仕事に、時間を使えるように

当時、私がしんどかったのは、時間をかけて話を聞いても、解決した手応えが乏しかったことです。その間にも、進めたい仕事はありました。

社員の話を聞くことも、会社を前へ進めることも、自分の役目。その両方を抱えていたからこそのジレンマだったと思います。

社長の横にもう一人いた方がいい。
そう考える理由は、この経験にあります。

誰かに話せることに加えて、話した後の仕事を、一緒に引き受けてくれる人がいる。その人に任せている間、自分も次の仕事へ進める。

本当は、あの取引先と話をしたい。あの案件を進めたい。会社をこうしていきたい。

そう思っている社長が、そこに時間を使えるように、私も横で仕事をする。自分が経営していた頃の経験を、今はそういう形で使っていきたいと思っています。


和泉に相談

社員の相談や日々の判断が集まり、進めたい仕事に時間を使えない。任せたはずの仕事も、結局自分のところに戻ってくる。

そんなときは、今、社長が引き受けている仕事から一緒に見ていきます。営業案件や実務への関わり方も含め、どこを任せられるかをお話しください。ご相談は、以下のお問い合わせフォームからお寄せください。

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