社長が本音を話せるように。私が自分の失敗を話す理由


社長にも、社員には話しにくいことがあります。お金のこと、人間関係のこと、これから会社をどうしていくか。頭の中ではずっと考えているのに、社内では口にできないことがあるのですよね。

自分なりに、こうしたいという考えはある。でも、迷っている気持ちまで話したら、社員はどう受け取るだろうか。余計な不安を与えたり、モチベーションを下げたりしないだろうか。そこが気になって、言葉を飲み込むこともあると思います。

不動産会社の経営者を支援する立場で、経営者の相談に関わっている和泉利明です。私自身も会社を経営し、失敗や倒産を経験してきました。

相談を受けるときは、まず、その頭の中にあることを話してもらいたいと思っています。だから、いきなり社長の悩みを聞く前に、私から自分の失敗や経験を話すことがあります。


目次
  1. お金と人の話には、口にしにくい事情がある
  2. 私も失敗してきたことを、先に話す
  3. 社長の中にある答えを、引き出していく
  4. 話しながら、何を相談したかったのかが見えてくる
  5. 社内へ伝えるときには、考えた理由も一緒に
  6. 和泉に相談

お金と人の話には、口にしにくい事情がある

例えば、これからの支払いが気になっていて、今のうちに事業の進め方を見直したいとします。社長は先のことを相談したいつもりでも、社員にそのまま話せば、会社の経営状態への不安として伝わるかもしれません。

人間関係も、簡単には話せないテーマです。ある幹部との仕事の進め方に悩んでいても、別の社員に話せば、その幹部への評価として受け取られることがあります。本人と話す前に、周囲へ違う意味で伝わるのも避けたいですよね。

こうした場面では、何を話すかに加えて、誰に、どこまで、どのタイミングで話すかまで考えなければなりません。社長の言葉は、雑談のつもりでも、会社の方針や人事の話と結びつけて聞かれることがあるからです。

まだ決めていないことを、途中の考えとして聞いてほしい。それでも、聞く側は自分の仕事や立場に関わることなので、結論が気になる。このズレは、どちらかが悪いという話ではありません。

もちろん、社内で共有し、一緒に考えるべきことはあります。ただ、社員へ伝える前の、迷っている段階の話を置ける相手も必要だと私は思っています。そこに、社外の人と話す意味があります。


私も失敗してきたことを、先に話す

相談できる相手がいても、最初から何でも話せるわけではないですよね。目の前の人が成功した話ばかりしていたら、自分のうまくいっていない話は、ちょっと切り出しにくいと思います。

私も、うまくいかなかったことがたくさんあります。会社を経営し、倒産も経験しました。そのことを先に話して、失敗や悩みも話せる相手なのだと知ってもらいたい。そこから、少しずつ話しやすい関係をつくっていくのです。

私自身、会社経営では、取引を広げる一方で依存が高まっていたことや、人に仕事を任せる過程で見落としていたことがあります。当時は必要だと考えて選んだことでも、あとから振り返ると、別の関わり方があったと思うことがあります。

例えば、幹部に任せようとして一歩引いたとき、仕事の判断だけでなく、社員と直接話す時間まで減らしてしまったことがありました。当時は、それも組織をつくることだと考えていました。仕事を任せることと、直接話せる関係を残すことは、両立できたはずです。

自分では会社のために考えて決めたことでも、あとから見れば、見落としていたことがある。私にも、そういう経験があります。人の悩みには、それまでの関わり方や、自分がよいと思って選んだことも絡んでいるのですよね。

もちろん、私の会社で起きたことが、そのまま目の前の会社に当てはまるとは思っていません。一緒に働いている人も、それまでの経緯も違います。私の経験を話したら、今度はその社長が何を考え、どんなところで迷っているのかを聞きたいです。

自分の失敗談を長々と話して、私の話だけで終わってしまったら、相談する時間がなくなります。私の話は、社長が話し始めるためのキッカケ。そのくらいのつもりでいたいと思っています。


社長の中にある答えを、引き出していく

私は、社長の中には、もう答えがあると思っています。

何を大事にして会社を続けてきたのか。誰と一緒に働いてきて、これからどうしていきたいのか。その積み重ねは、社長ご自身の中にあります。外から来た私が、初めから全部分かるわけではありません。

ただ、こうしたいと思っていても、すぐに決められるとは限らないですよね。お金のことが気になったり、今まで支えてくれた人への思いがあったりする。頭では決めたつもりでも、まだ引っかかっていることがある。

たとえば、幹部に仕事を任せたい。でも、その人はすでに忙しそうだし、頼めば無理をしてでも引き受けるかもしれない。自分が手を離して、本当に大丈夫だろうか。そんな迷いもあると思います。

そこで、任せた方がよいとだけ言われても、それは社長も分かっているのですよね。私が聞きたいのは、その先です。任せるとしたら、何が一番気になるのか。どこまでなら任せられそうなのか。そこを話してもらいたいのです。

本人の負担が気になるなら、今持っている仕事も見てみる。周囲への伝え方で迷っているなら、なぜ任せたいのかを一緒に考える。同じように手が止まっていても、気になっていることが分かれば、次にする話は変わります。

社長の中にある答えを、話しながら引き出していく。私は、その役でありたいと思っています。

私の経験も、その社長が考えるための材料の一つです。聞いたうえで、自分ならどうするかを考えてもらう。最後に、ご自身が納得して選べるように話を聞いていきたいのです。


話しながら、何を相談したかったのかが見えてくる

話し始めるときに、相談のテーマをきれいに決めておかなくてもよいと思っています。お金のことを話していたら、人のことも気になってくる。会社の中では、そういう話がつながっていますよね。

順番に説明しようとすると、その前にあった出来事も話したくなるかもしれません。今の状況になった理由や、これまで自分なりに試してきたこと。そういう話も聞いていくと、社長が何を気にしているのかを、私も少しずつ理解できます。

私から見ればすぐ変えられそうなことでも、社長には簡単に変えられない理由があるかもしれません。その理由を聞かずに、先に私の考えを話してしまうと、肝心なところを聞き逃します。結論を急がず、その経緯も知りたいと思っています。

話が前に戻っても、途中で別の話になっても構いません。何度も同じところが気になるなら、そこには大事にしていることや、まだ納得できていないことがあるのかもしれない。私は、そういうところを一緒に考えたいです。

やりたいことがハッキリしたら、今度は、それを進めるために何を確かめるかを考えます。費用なのか、誰が担当するかという話なのか。分からないことが残っていても、次に調べることや、話す相手が決まれば、そこから進められます。

うまく説明するために、相談の前から考えをまとめすぎなくてもよいのですね。まずは今、気になっていることを話してもらう。その話を聞くところから始めたいと思っています。


社内へ伝えるときには、考えた理由も一緒に

話せて少しホッとしたら、次は社内でどう話すかも考えたいです。外で話す時間が、社員や幹部と話すときの助けになればと思っています。

何を決めたのかだけでなく、どうしてそうしたいと思ったのか。相手には何を頼みたくて、自分は何を引き受けるのか。考えた理由まで伝えられれば、受け取る側も、自分に期待されていることが分かりやすくなります。

まだ決めていないことがあれば、そこも伝えてよいと思います。もう決めたことなのか、一緒に考えてほしいことなのかが分かれば、相手も話しやすくなります。社長の中の迷いを、そのまま全部受け止めてもらう必要はありません。

最初に抱えていた悩みが、相談しただけですべてなくなるとは思っていません。それでも、自分が何を気にしているのか、次に誰と何を話すのかが見えれば、社内での話し方も考えやすくなる。私は、そこまで一緒に関わっていきたいです。

考えをまとめてから相談する。その手前に、考えをまとめるために話す時間があってもよい。

私は、自分の失敗や経験も話しながら、その時間をつくれる相手でありたいと思っています。


和泉に相談

お金のことや人のことが気になっているけれど、社内ではまだ話しにくい。そんなときは、気になっている出来事から聞かせてください。何から話すかが決まっていなくても構いません。

私も、自分が経験してきたことや、失敗したことを話します。そのうえで、社長がどうしたいのかを一緒に考えていけたらと思っています。ご相談は、以下のお問い合わせフォームからお寄せください。

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